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「だれも知らない小さな国」
「だれも知らない小さな国」旧版外箱(講談社):村上勉(画)
「名文句:だれも知らない小さな国」
「わたしの知っているのは、小人がここに住んでいるということです。」「根本的に、体に合わない・・・」というものがある。
「そ、それでぜんぶです。」
あまりあっさりいわれて、ぼくはかえってまごついてしまった。ほんの短いあいだ、またぼくたちはだまった。
「それを知っているのは---というより、そう信じているのは、ぼくときみだけなんです。」
(だれも知らない小さな国より引用)
某タレントはミュージカルがダメだそうだ。いきなり脈絡もなく歌い出すのは、解せないという。私の知人の某氏はトレンディドラマがダメだそうだ。「あんな美男美女が一同に集まり、一気に恋愛関係に陥るわけがない。」という。まあ、理由は理解できる。人それぞれ、十人十色。人の好きずきだから仕方が無い。好みとか、合う合わないとかいうものは、そういうレベルだろう。
当然、本にだって同じように「体にあう、あわない」は存在すると思う。児童文学だって、同じようなものだ。「子供向けお話」と片づけてしまえば、それっきり。
本屋で子供と一緒になって、本をあさっているお母さんらしき人が、「こちらは、×年生向きとかいてあるじゃない。こっちは、ああ字が多すぎる。」とブツブツ言いながら本の品定めをしている。ああ、この人にとっては所詮「子供向けお話=お勉強の道具」なんだなと思ってしまう。小学校卒業と同時に、古本や行きなんでしょう・・・と、よけいな事を考えてしまうのは、間違っているのだろうか?。
幸いにして(不幸にして?)児童文学という枠をはめて考えない人でも、「『ファンタジー』は苦手だ。」という人は存在する。現実を描写したものでなく、魔法や、妖精のたぐいの登場だけで価値が半減してしまうという人もいる。でも一方で、「ファンタジー命!!」という人もいるのだ。
絵空事・・・と、言い切ってしまえばそれっきり。そんな、微妙なバランスの上に築かれる砂上の楼閣・ファンタジー。そんな言い方もできるだろう。だからこそ、「だれも知らない小さな国」の主人公:せいたかさんが、おちび先生に向かっていうセリフが胸を打つ。「そう信じているのは、ぼくときみだけなんです。」
そら、耳をすませば、あちこちから「信じているよ!!」と叫ぶ心の声が木霊するのが聞こえるでしょ。目を閉じれば、そこには「小山」があり、「霧の谷」があり、屋根の上には「座敷童子」がいる。「火を噴く火山」もあるだろうし、異世界に抜ける「衣装ダンス」もあるに違いない。
そう。あなたの手の中には、ファンタジーへの鍵が握られているじゃあありませんか。「信じて」みるのも悪くはないでしょう。そう思いませんか?
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