如月の本・弐
「豆つぶほどの小さな犬:その1」



現在の改訂新版の表紙から(村上勉氏・絵)


豆つぶほどの小さな犬

ご存じ、コロボックル物語の第二話。クリノヒコ(風の子)が語る「豆いぬ」事件が縦糸に、コロボックル通信社の活躍が横糸に物語は、織り込まれて行く。

この本、かく言う私にとって、、もっとも読み返したコロボックル物語だろう。「だれも知らない」よりも、倍は読み返している。どこに魅力があるか、なんとも言い難いが、佐藤さとる氏が楽しんで書いている(と推測される)話だからではないか?と、一人納得している。

この話は、いつ読んでもなんらかの発見がある。たとえば、クリノヒコが見る「だれも知らない」のノートは、「うすい緑色」をしているが、最近この色の謎が解けた。まあ、一人で思いこんでいるだけかもしれないが、佐藤さんのいう所の、「ちょっとした作者のしるし」を見つけたときには、ひとりほほえんでしまう事もある。とても、たのしく、ワクワクしながら読み返すことのできる本なんて、何冊もないのが現実である。

ワクワクの冒険小説であり、かつ、上質の青春小説でもあるこの話。なんども楽しめてあたりまえの話かもしれない。


講談社文庫の表紙から(村上勉氏・絵)

いろいろ発見のある、この本、表紙もあなどれない。微妙に変わっていることが、おわかりだろう。まあ、楽しみ方がいっぱいある本である。
また、この本の最後にあるコロボックル通信の発行日付。今回再読して、おもわず笑ってしまった。さて、お解りいただけるかな?

「豆つぶほどの小さな犬」 現在は新版が出版中。青い鳥文庫、佐藤さとる全集、
も現役で購入可能。講談社文庫にも収録されていた
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