弥生の本・壱
「豆つぶほどの小さな犬:その2」



佐藤さとる全集9巻(現行版)のカバー裏表紙から(村上勉氏・絵)


豆つぶほどの小さな犬・その2

「豆つぶほどの小さな犬」は、そのユニークな登場人物、もとい登場コロボックルに支えられている。

主人公のクリノヒコ・風の子をはじめ、クルミノヒメ・おチビ、スギノヒコ・フエフキ・・・個性豊かな面々であり、書き分けも心憎いばかりである。また、肝心かなめの「まめいぬ」は最後の最後にちらっと登場するだけというのが絶妙といえる。

コロボックルの生活が垣間見てとれる事も楽しい。

地下の工場の様子や、見張りシステムの話、コロボックルの学校の仕組みやそれからおのおのの仕事に就く課程など。徒弟制度と学校制度を混合したシステムがほんの少し語られる。 「豆つぶほどの小さな犬」はある意味、人の側の物語はほとんどない。他の4編の長編と大きく違うのはそこである。これは正真正銘のコロボックルのお話なのだ。

だからこそ、この本を好きな方は、コロボックル国の国境に足を一歩、確実に踏み込んでいる人だと思う。


佐藤さとる全集の内側表紙から(村上勉氏・絵)

さて、「豆つぶほどの小さな犬・その壱」に書いてある、コロボックル通信の一号の発行日付は2月13日。
何の日かご存じない方は、このWEBを角から角まで見るとわかります。

「豆つぶほどの小さな犬」 現在は新版が出版中。青い鳥文庫、佐藤さとる全集、
も現役で購入可能。講談社文庫にも収録されていた
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